
――8月21日(金)公開の、劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~CAPITAL CRISIS』に出演が決まった時の気持ちを教えてください。
この仕事を始めたばかりの頃から、いつか医療モノの作品に出演したいと思っていたので、夢が叶って嬉しかったです。また、ずっと憧れていた鈴木亮平さんと現場をご一緒できたことは、自分にとって大きな出来事でした。
――鈴木さんと実際に共演してみて、刺激を受けた部分はありましたか?
お芝居に対するストイックさと、現場でのユーモアですね。医療モノの作品って、専門用語がとにかく難しくて。『TOKYO MER』は、脚本の裏に医療用語や機器の名前がびっしり書いてあり、最初に見た時は「これは大変だな……」と思いました。僕は、覚えること自体は得意なほうですが、覚えたうえで自然に言い切るのが難しいです。そんななかで、鈴木さんは呪文のようなセリフを一度も噛まずに、ワンテイクで決めてしまうんです。しかも、その時の現場はマイナス2度くらいで、時間も深夜1時とか2時とか。周りには江口洋介さんや賀来賢人さん、中条あやみさんといった方々が揃っていて、まさに“総出動”みたいな状況でした。そのなかで一発OKを出されるのを見て、「本当にすごいな」と思いました。
――シリーズ作品への参加という点で、期待やプレッシャーは感じましたか?
プレッシャーは思っていたほどはありませんでした。それよりも、楽しみのほうが大きかったです。特に、オペのシーンにはとてもワクワクしました。医療作品において、やっぱり一番の見せ場になる部分だと思うので。劇場でご覧になる皆さんにも、ぜひオペシーンに注目していただきたいです。
――今回、岩瀬さんが演じられた「滝野川 宗」は、新生 TOKYO MERの看護師ですね。リリースでは「最年少ながら、チームを和ませる存在感がある」と紹介されていますが、役に入るうえで意識されたことは?
「丁寧」「的確」「俊敏」、この3つを常に意識していました。MERって、ミスが許されないんです。滝野川は若手で、経験や精神面では未熟な部分もありますが、それでも正確な動きが求められる。「できて当たり前」という前提があるからこそ、冷静かつ迅速に対応する姿を見せたいと思っていました。一方で、それ以外の芝居については、あまり考えすぎないようにしていました。というのも、滝野川は朝から晩までほぼオペ室にいて、常に手を動かし続けている状態なんです。そのなかで生まれるリアリティを大切にしたいと考えていました。
――なるほど。撮影はいかがでしたか?
鈴木さん、江口さん、賀来さん、生見さんなど、これまで『TOKYO MER』の世界観を作ってきた方々と一緒にオペに入るので、ついていくのに必死でした。事前に準備していても、医療リハーサルに入ると、賀来さんが「やっぱりこれも必要じゃない?」と、その場で用語や動きをどんどん追加されるです(笑)。なんとか食らいついていきました。
――かなり緊張感のある現場だったんですね。
本当に必死でした。手汗もすごくて(笑)。医療シーンって、動作が少しでも流れてしまうと説得力がなくなるので、看護師としての動きはかなり意識しました。器具を渡すタイミング一つとっても、言われてから動くのではなく、先を読んで準備する必要がある。例えば縫合に入る時は、何十種類もある糸のなかから適切なものを瞬時に判断して渡す、といったことも求められます。そういった部分は、台本に書かれていなくても、考えて動くようにしていました。
――共演者の方々に相談することも多かったですか?
「はいカット!」と声がかかったあと、少しでも時間ができると、すぐに鈴木さんや賀来さんのところに行って、「ここどうしたらいいですか?」って聞いていました。
――頼れる先輩が多かったんですね。シリーズを貫く「死者を一人も出さない」というテーマを、どのように受け止めましたか?
今回の映画で描かれている災害の規模は、とても大きく、どう考えても難しい状況ばかりですが、その「無理かもしれない」を本気で可能にしようとするのが『TOKYO MER』のチームだと思っています。その一点を軸に、数ヶ月間この作品に向き合ってきました。大変さもありましたが、それ以上に充実感が大きかったです。
――別媒体のインタビューで「ある作品での芝居が楽しかった」とおっしゃっていましたが、それは『TOKYO MER』のことでしょうか?
そうです。まさにこの作品です。例えば受験勉強って、やっている最中はどうしても大変さのほうが勝つと思うんです。僕にとっては、デビューしてからずっとそういう感覚が続いていました。もちろん、その過程も嫌いではないですが、悔しさや学ぶことの多さが先に立って、「楽しい」という感覚にはなかなか届かなかったです。でも、『TOKYO MER』の現場ではそのバランスが変わって、「楽しい」が自然と上回っていきました。
――岩瀬さんのキャリアにおいて、ひとつの転機になりそうですね。今回、さまざまな先輩方と共演されて、ご自身の課題や伸びしろとして感じたことはありますか?
いちばん感じたのは、芝居における会話のテンポや、セリフの扱い方です。それから、瞬間的なひらめきや想像力です。言い回し一つをとっても、現場に入ると「この語尾は自然なのか」「この人物は本当にこのセリフを言うか」といった疑問が次々に浮かんできます。先輩方は、そうした違和感をそのままにせず、必要だと感じたら柔軟に変えていく。その場で新しい表現を生み出していかれるんです。自分はまだ、そうやって表現を広げていく力が足りないので、もっと伸ばしていきたいと思っています。
――『TOKYO MER』の経験を通して、今後挑戦したいと思ったことがあれば教えてください。
アクションに挑戦したいという気持ちが強くなりました。今は特に、ワイヤーアクションに興味があります。身体を使った表現の幅を広げていきたいです。
――出演作が続き、お忙しい日々かと思いますが、自分の時間は取れていますか?
忙しさはありますが、意外と時間は作れています。ただ、時間ができても基本的には一人で過ごすことが多くて……アニメが恋人みたいな感じです(笑)。本当はもう少しアウトドアっぽく過ごしたいんですけど、なかなか外に出るのが面倒で。特に春は花粉症がひどいので、どうしても家にこもりがちになります。先輩と食事に行く機会も少ないのですが、『TOKYO MER』の時は赤楚(衛二)さんとご一緒させていただきました。
――ありがとうございます。最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
たくさんの応援のおかげもあり、デビューしてから目標にしていたことを、一つひとつ実現できています。今後はその経験をどう自分のなかに落とし込み、表現としてどう見せていくか、しっかり向き合っていきたいと思っています。俳優としてはもちろん、モデルの仕事も含めて、さらにストイックに取り組んでいくつもりです。作品を観てくださる皆さんに「良かった」と思っていただけるよう努力していきますので、これからも岩瀬洋志の可能性を信じて、見守っていただけたら嬉しいです。
