人気作家・汐見夏衛によるベストセラー小説が、「美しい彼」シリーズの酒井麻衣監督により待望の映画化。上映会最速上映会でのアンケートでは、本作を人に勧めたいと答えた方がなんと97%という高評価! JO1 白岩瑠姫×久間田琳加W主演『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(9月1日(金)全国ロードショー)の本音で語るトークショー付き試写会が8月24日(木)に都内で開催され、主演の久間田琳加とメガホンを取った酒井麻衣監督、そして原作者の汐見夏衛の3名が参加し、映画への思いや見どころを本音で語り明かした。
――汐見先生から実際に久間田さんが演じている茜はどんな風に映っていましたか?
すごく複雑な感情表現が必要な役というか、作り笑いで、表面上いい子のふりをしているけど、本当はいろいろと黒いことも考えているという複雑な表現を、しかもマスクをつけて目だけでやらないといけないという……。本当に難しい役だったと思いますが、観ていたら最初の半分ぐらいはずっと茜が可哀想で、「誰か助けてあげてよ」と自分で書いておきながらそう思うぐらい感情移入しましたし、周りのために頑張っていますが、上手くいかなくて空回りして辛いというのが本当に伝わってきて、本当に共感せざるを得ないというような茜が出来上がっていて、本当にありがたく、久間田さんに演じていただけて良かったと思いました。あと、とにかく可愛かったです! 最初にお会いした時が学校の廊下で、光がない場所なのに、透明感が発光するようで、めちゃくちゃ内側から光っていると思いました。
――先程先生もおっしゃっていたように、目元でお芝居をしなければいけないというのは、特にどんなところを気をつけていましたか?
私もマスクをする機会は多かったので、なるべく鏡を見ました。でも結局撮影に入ったら、目だけで演じるというのを一旦忘れようと思いました。やはり心から思っていれば、きっと目だけでも伝わるんじゃないかなと思い、最終的にはあまり考えずに、気持ちのままに動くようにしていました。でもやっぱり最初にお話をいただいた時は不安でした。マスクがあるというのは、顔の半分が見えてない状態なので、どうしたら皆さんに伝えられるかなというのはもちろんありましたし、しかも最初はキャラクターとして自分の本心を隠しているので、あまり目元も大げさにできない感じがありましたね。
――酒井監督はそんな目元で演じる事に関して久間田さんとどんなお話をされましたか?
実は久間田さんと目でお芝居しようというお話はしていなくて、私自身全然心配していなかったというか、久間田さんの表現力を信じていました。それよりも茜はこのシーンの時何を思っているのかとか、原作の好きなところなんですが、茜はすごく意志がある子だなと思っていて、悩んだりもしますが、自分の人生を良くするために考えて行動している子だと思うんです。そういう芯の強さと優しさがちゃんと内にある、うじうじしているばかりではない、そういう茜だけの性格みたいなものをすごくすり合わせた思い出があります。
――本心を隠してきた茜が屋上で胸の内を叫ぶシーンがとても印象的ですが、実際に皆さんは周りにそういう方がいたらどんな言葉をかけて、どんな風にアドバイスをしますか?
久間田:これは私が実際に演じていて感じたんですが、やはり沙耶香みたいな存在はすごく大きいなと思います。踏み込み過ぎず、そばにいてくれる存在というか、もし私が茜みたいな子が近くにいたら、沙耶香みたいになりたいと思いました。すごく素敵な友達で心強かったですし、クラスで少し居心地が悪かったりするシーンでも、どこか沙也香の温かみを感じる瞬間が結構あったので、ああいう風に寄り添いたいなと思いました。
酒井:私も一緒で、隣にいることが一番いいのかなと思っていて、隣にいて話したくなったら話を聞くし、こういうことを話したそうだなと思ったら話せるような質問をしたいと思います。映画の中で言うと、生理に対する岡崎先生の言い方が憧れます。よく観察しているからこその寄り添い方ですよね。
汐見:私はやはり溜め込みすぎてしまうと爆発してしまうと思うので、そうなるとやっぱり言い方がきつくなってしまうなと自分も今までの人生で何回も反省したり、「もっと早い段階で言っておけばこんな言い方をしなくて済んだのに」と我慢できなくなってから言うと、どうしてもきつい言い方になってしまうので、本音を出す時は言い方と伝え方がとても大事だと思っています。友達だけでなく、家族や恋人など近い人でも礼儀が大事というか、何でも言えばいいというわけではないので、言い方や伝え方を工夫するために余裕がないとそれができないと思うんです。“ここまで来たら限界”となる前に少しずつ吐き出して、優しく穏やかに言えるようにすると自分も溜まっているものが少なくなっていくし、相手にも優しく伝えることができるので、「溜め込みすぎず、どこかで少しずつ空気を抜いてほしい」と思います。
――実際に撮影されていて、こだわったときめきシーンはありますか?
久間田:今日は、“女子会”というのもあるので、いつもと違うシーンをあげてみようと思うのですが、2人で遊園地に行って、「夕焼けって何色か知ってる?茜色。」と言われるシーンは、やはり色の名前とはいえ、自分の名前が入っているのはこんなにドキッとするんだと感じたシーンでした。
酒井:私は、好きなことをしている姿がすごくかっこいいと思っているので、青磁が絵を描いていて、それを茜が見つめるシーンはすごくこだわって、青磁に見とれてしまうなという部分をすごく繊細にこだわりました。あと、マスクに絵を描くシーンですかね。ぐっと顔が近くなるので、そこの見つめ合いというか、青磁は「俺は絵を描いているだけだよ」という感じなんですが、茜にとっては近いという絶妙な感覚。マスク越しとはいえかなり近いので、本音を晒さない茜としては、“ここまで来たんだ”というところと、また別のドキドキとでときめきました。
――そして、茜は青磁の存在によって次第に自分の本音を言えるように成長していく姿がとても印象的だったんですが、皆さん自身、茜のように誰かと出会ってそのきっかけに成長をした経験はありますか?
久間田:私は今、芸能界に入って10年経ったぐらいなのですが、一番最初がモデルのお仕事からのスタートで、その時の編集長に「自分が伝えたいことをちゃんと発信していたら、読者の方たちには絶対伝わっているから」と言われたことです。いきなり芸能界に飛び込んで、自分の発信の仕方が全然わからなかったんです。いきなりSNSが開設されて、何をすればいいんだろうという時に、「自分の好きなことをちゃんと真意を持って伝えたら、見ている方には伝わる」というのを言ってもらって考え方が変わっていきました。“好きなことを極めればいい”という自信にもなったので、その言葉は結構残っています。
酒井:絵画教室に通っていたのですが、その時の先生に自分の作家性や作品性で悩んでいた時に、「自分の色は周りの人たちが感じてくれるから、自分は好きにやったり、真摯に向き合いさえすれば勝手に自分の色が出てくるから、自分の色を出そうとしない方がいい」と言われたんです。それがすごく響いていて、今の原作を映像化する時や、初めての俳優さんとご一緒する時に、相手の良さと一緒になってその化学反応というか、それで初めて生まれるものがあると思うので、「自分はこう思います」というより、“受け取って素直に映像化する”ということを心がけています。
汐見:私は、小説を書き始めたのが社会人になって何年か仕事をしてからなのでだいぶ遅い方なんですが、それまでもずっと本を読むのは好きで、読んでいて「いつか何か書いてみたいな」と思い、いろいろな話を考えるのは好きだったのですが、踏み出すきっかけがなかったんです。それを書くきっかけになったのが、小学校からの幼なじみの友達がいて、その子がネット上で小説を書いて、賞を取ってデビューして、紙の書籍を出したという話を聞いて“私もやってみよう”とその時に突然思い立って、それから10年ぐらいずっと止まることなく書き続けています。タイムラグがあるんですが、20年ぐらい前の出会いが後に自分の人生をすごく大きく変えたなと思って、その子が友達じゃなくて、その子が本を出さなかったら私は小説を書くこと自体なかったと思うので、出会いはすごく大事だなと思いました。
――最後にこれから公開を楽しみにされている方に一言お願いします。
汐見:きっと茜と一緒に苦しい気持ちになって、だんだん茜と一緒に成長して、最後に開放感を味わえるような映画だと思うので、今もし止まっていることがあったら、一歩踏み出そうというきっかけになれば嬉しいです。少し自分に寄せてというか、茜の気持ちに寄り添ったり、他のキャラクターでも共感できる部分があると思うので、“自分を変えるきっかけになるかもしれない”という気持ちで見ていただけると何か発見があったりするかなと思います。
久間田:撮影期間は茜と一緒に身を削りながらというか、“一緒に葛藤して、悩んで、とにかく自分もすり減りながら這い上がろうとして”という自分にない感情に出会えた作品になったと今回とても感じています。一人でも多くの方の背中を押せる作品になったらいいなと思うので、是非感想をSNSなどで書いていただけたら嬉しいなと思います。
酒井:作品の好きなセリフで、青磁が、「お前の世界も綺麗だろ」というセリフがあるんですが、自分の見えているもの、聞こえているものは自分の世界なので、映画見ていただいて、“自分の世界は綺麗だな”と思えてもらえたり、そういうきっかけになれたらいいなと思います。これからもこの映画を愛していただけると嬉しいです!
『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』9月1日全国ロードショー
無彩色で息苦しいこの世界。
救い出してくれたのは、“私を嫌い”な君でした。
学校ではマスクが手放せず、周囲の空気ばかり読んでしまう「優等生」の茜。自由奔放で絵を描くことを愛する、銀髪のクラスメイト・青磁。何もかもが自分とは正反対の青磁のことが苦手な茜だったが、彼が描く絵と、まっすぐな性格に惹かれ、茜の世界はカラフルに色づきはじめる。次第に距離を縮めていくふたりの過去がやがて重なりあい、初めて誰にも言えなかった想いがあふれ出す――。
出演:白岩瑠姫(JO1)、久間田琳加
箭内夢菜、吉田ウーロン太、今井隆文、上杉柊平、鶴田真由
原作:汐見夏衛 「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(スターツ出版 刊)
監督:酒井麻衣 脚本:イ・ナウォン 酒井麻衣
製作:『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース
配給:アスミック・エース
©2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会
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