PASSION IN CALM MIREI KIRITANI

FASHION

女優・桐谷美玲さんと表現するのは、静と動、両極のムードが交差することで生まれる調和と無限の可能性。
揺るぎないパワーを発する、そんな洗練された強さも大事なエッセンスのひとつだけども、
決してタフなだけでない、たおやかで婉然な側面も併せ持っていたい。

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“strong and flexible”をキーワードに、凛とした強さの中にも、やわらかくしなやかさを宿した女性像を今号のテーマとして掲げているのですが、桐谷さんが描く理想的な女性像を教えてください。

一本芯が通っていて、強くカッコいい女性というのを私自身も理想としていて。そういう雰囲気を纏った女性に近付けていけたらいいなと思っています。

今回の撮影ではどの衣装が印象的でしたか?

どれも可愛くて素敵でしたが、表紙にも起用されたバレンシアガの衣装では、レザースカートの背面にコルセットのように長いリボンレースがあしらわれていたので、撮影をしている時も色々な表現ができましたし、着ていてすごく面白かったです。普段、ミニ丈はなかなか着る機会がないので、フェラガモのルックも新鮮で印象的でした。ミニ丈といってもブラックカラーで、可愛いというよりはカッコよさがベースにあり、それが自分にもフィットしていたのかなと感じます。

普段はどういったファッションが多いですか?

パンツスタイルが圧倒的に多いです。色もモノトーンが多くて、シンプルだったり、少しモードテイストなファッションのほうが好きで。ただ、出産してからはカジュアルなスタイルも増えてきたので、シチュエーションに合わせて選んでいます。カジュアルの中にもレイヤードなどの着こなしでお洒落感を出すようにしたり、スウェットを着ることも多く、インナーにシャツを入れて裾から少し見せたり、上からジャケットを合わせたりするだけでも、雰囲気がまた変わってカッコよく仕上がるので、スタイリングは意識するようにしています。

この夏、そして秋冬にかけて注目しているファッションアイテムはありますか?

ヘイリー・ビーバーをはじめ、海外のファッショニスタの着こなしを参考にすることが多いのですが、SNSやスナップを見ていると、やっぱりミニ丈を取り入れている方が多くて。今まで絶対に膝を見せたくなかったのですが、ミニまでいかずとも、膝上ぐらいの丈感のボトムスだったら私もトライできるかも、と思うようになったんです。懐かしのカプリパンツのようなアイテムもリバイバルしていますし、半端丈のパンツを目にする機会も増えてきて、段々と着てみたくなり実際に買ってみたりもしました。それを穿くためにも脚を綺麗にしないとと思い、美容に力を入れたりもしています。なので今までは絶対にロング派でしたが、少しずつ短くしていく形で、ミニ丈も取り入れてみたいなと思っています!

ほか美容に関して普段から気を付けていることはありますか?

スキンケアはきちんとしたいので、保湿をしっかり行うようにしています。フェイスパックをしながら家事をしたりと、ながらでもできることは積極的に取り入れたり、時間がある時は美顔器でマッサージをしたり。あとはプロの力を借りています。

これだけは譲れないというマイルールはありますか?

プライベートでもファッションを楽しむことは忘れない、これはマイルールと言えるかもしれません。特にこれといった予定がなくても好きな服を着て気分をあげたり、シンプルでカジュアルだったとしても、どこか楽しめる要素を入れるようにしています。

自分時間がたっぷりできたら、どんなことをしたいですか?

リゾート地に行って、何もせずにぼーっとゆっくりしたり、マッサージを受けたり、好きなものを食べたり、という時間を過ごしたいです。旅行に出掛けても今は子どもファーストになるので、どこへ行っても結局は公園、動物園、水族館といったレジャー施設がメインになってしまうんです。朝もゆっくり寝ていたいのですが、子どものタイムスケジュールに合わせて動かざるを得ないので、何も考えずにのんびりしたいです。以前、友人とハワイに行った時も、青く綺麗なビーチを目の前に本当に何もせず、ひたすら寝ていたのですがそれがもう最高で。さすがに焼けてしまいましたが、それでもいいかと思えるくらい心地よい旅行でした。

夢中になっていることはありますか?

夜、子どもが寝た後に動画配信サービスなどを鑑賞する時間です。最近は恋愛リアリティやオーディション番組を観ることも多いのですが、韓国ドラマにがっつりハマる時もあります。本当にその時間が楽しくて、早く観るために家事なども早く終わらせよう!とモチベーションになっています。

どんな時に一番の幸せを感じますか?

一番を決めるのは難しいですが、子どもの寝顔を見ている時と美味しいご飯食べている時です。私が好きなのはエスニックや辛いものなのですが、子どもと一緒だと食べられないことが多いので、早く仕事が終わったりなどで時間ができて、好きなものを食べている時はすごく幸せです(笑)。

新たに挑戦したいことはありますか?

料理教室に通っていて、そこで新しいレシピに出会えるのがすごく楽しくて。作るお料理のジャンルも色々で、過去にはシュー・ファルシというフランスの ロールキャベツのような料理や、手羽先を黒酢で煮た中華料理だったり、ピータンを使った白和などを習いました。どれもすごく美味しかったですし、お料理の過程そのものが面白いので、どんどん新しい料理に挑戦したいです。

スカウトをきっかけに女優、モデルと大きく羽ばたいていった桐谷さんですが、お仕事を始めたばかりの当時の心境はいかがでしたか? また、幼少期はどんな子どもでしたか? 芸能界には元々興味があったのでしょうか?

子どもの頃はとってもシャイで内気な性格でした。自分が表舞台に立つことは想像したこともなかったですし、幼い頃は芸能界に全く興味がなくて。スカウトいただいたのも受験を終えて高校に入ったばかりのタイミングだったので、実感もなかったですし、芸能のお仕事は未知の世界すぎて考えてもいなかったという感じでした。それもあって初めはスカウト もお断りする予定だったのですが、ある時、撮影現 場に見学に来ませんか?と連絡をいただいて。当時 の事務所の先輩が携わっていた雑誌の撮影だったのですが、私もファッションや雑誌が好きでしたし、「こんな風に撮っているんだ!」と初めての体験に感激したんです。高校はきちんと卒業しようと親とも約束をしていたのですが、やりたいんだったら芸能のお仕事もやってみたら?と背中を押してもらって、とりあえず1年だけやってみようか、というところからキャリアがスタートしました。

子育てもされていらっしゃる桐谷さんのご自身の幼少期と息子さんとの間で、似ているなと感じる点はありますか? 逆に、全く異なるなと感じることはありますか?

私ほどではないですけど、息子もやっぱりシャイなところがあって、恥ずかしがることもあるので、私の性格を受け継いだのかな?と感じることはあります。夫は幼い頃からそういうことが一切なかったようなので、そこは全然違うよねとよく話していて。ただ、100%私にそっくりというわけではなく、夫の性格と似ている部分も多々あるので、やっぱり半々で受け継いでいるんだなと感じます。あと私は、色鉛筆の並び順も自分が決めた順番通りでないと納得いかないなど、すごく細かいことにこだわる子どもだったのですが、そういったところも息子と似ているなと思うことがあります(笑)。

人生が動いたと感じる転機はございますか?

お仕事ではなく人生でと考えると、やっぱり子どもができたことです。子どもが生まれてからの生活は、今まで過ごしてきた生活とは一変しましたし、想像もしていなかったことがいっぱい起きるので、かけがえのないことだらけです。

育児や家事、お仕事はどう両立されていらっしゃるのでしょうか?

できる限り全力で向き合っていますが、完璧にはできないということは分かっていて。やっぱり自分ひとりではできないこともあるので、夫だったり親だったり、周りに協力してもらいながら頑張っています。

中でも、特に大変なことはありますか?

料理を作ることは好きなのですが、毎日の献立を考えるのが本当に大変です。食べたいものをリクエストしてくれたら作れるのですが、そういうわけでもなく、子どもも好き嫌いがありますし、好きなものばかりで偏りが出てしまうのもよくないので、栄養的にもこれを食べてほしいなと色々考えても、結局食べてもらえなかったり。しかも、息子は毎日毎食同じものを食べたがったりするのですが、親もそれに合わせて食事を、となるとさすがに難しいので、最近は大人の分と子どもの分を別々に作ったり、メインだけ2つ作って副菜はシェアしたり、共通の食材でできるもので少しだけ 味付けを変えたりと工夫するようにしています。

2012年から『NEWS ZERO』にて約6年半、そして現在は『news every.』のキャスターを務めていらっしゃいますが、報道の最前線に立ち感じることはありますか?

生放送なので、生の声を届けること、いち早く正確な情報を届けることが大切で、その瞬発力はすごく鍛えられているのかなと感じています。でも、まだまだできないことだらけなので、隣にいるアナウンサーさんを見て、すごいなと尊敬しつつ学ばせていただきながら頑張っています。

放送前に準備することも多いのでしょうか?

当日のニュースに関しては、自分の役割を前もって説明していただくので、その上で準備をするのですが、自分で取材に伺うというコーナーでは、事前に調べたり、どういったことを聞いてみたいかなどを考えながら行っています。

報道の仕事を続けるにあたり、モチベーションとなっていることはどんなことですか?

ものすごくやりがいがありますし、ニュース番組の視聴者は、子育て世代で同じように頑張っている方や主婦の方も多いと思うので、親となった今は、20代で『NEWS ZERO』に主演していた時とは異なり、そういった方々に向けて何か発信できること、一緒に頑張れることがあるんじゃないかということを、自分の中のテーマとして設けながら務めています。1人で抱え込むことで、辛いと感じてしまうこともあると思うので、「みんなで頑張ろう!」といった気持ちを 届けられたら嬉しいです。

36歳となるこの年は40歳を目前に、また一つライフステージの節目を迎えるのではないかと思うのですが、何か感じることはありますか? また、今後の目標はありますか?

アラフォーだという意識はまだそんなにないのですが、20代のように若くもないし、かといって40代の大人な女性というわけでもなく、少し宙ぶらりんのような感覚はあります。未来の目標を立てるのも苦手なので、年齢に関わらず、今あることを全力でやりつつ、子どもにすごく我慢をさせてまで働くのは違うのかなと感じているので、お仕事も子育てもともに大切にしながらバランスは崩さずに、うまく舵取りをしながら進んでいきたいと思っています。

お仕事をする上で芯に据えていることを教えてください。

お仕事全体で言えることは、自分の心に従う、いいと思ったことは貫くということです。20代で色々な経験をさせていただいて、たくさんの挑戦ができたからこそ今がありますが、その反面、自分ですべてをしっかり考えてやってきたかというと、そうは言い切れなくて。ありがたいことに次から次へとお仕事をいただいたので、自分でどうしていきたいか、ということを考える時間があまり持てなかったんです。30代になり、一旦自分を見つめ直す時間を持てたので、改めて自分の気持ちを大事にしながら、楽しくお仕事をしていきたいと思うようになりました。時には楽しいという枠組みを超えて頑張ることも必要だとは思うのですが、全部が苦しくなってしまうと煮詰まってしまうと思うので、苦手だなと感じることに巡り合っても、その中で何か一つでも楽しみを見つけながら、一生懸命に取り組んでいきたいです。

PROFILE 女優 桐谷 美玲 Mirei Kiritani

1989年12月16日生まれ。千葉県出身。高校在学中にスカウトされ、2006年に映画『春の居場所』で女優デビュー。同年より、ファッション誌『Seventeen』の専属モデルを務める。同誌の専属モデルを卒業後も、ファッション誌『non-no』の専属モデルやファッション誌『BAILA』のレギュラーモデルを務める傍ら、女優としても数々の著名作品に出演。代表作に映画『女子ーズ』(2014)、『ヒロイン失格』(2015)、『リベンジgirl』(2017)など。2012年から2018年まで報道番組『NEWS ZERO』の火曜キャスターを務め、2024年3月からは『news every.』でキャスターに就任。

Model:MIREI KIRITANI Photography:TON ZHANG(RETUNE Rep) Styling:RYOTA KOUJIRO Hair:MIHO EMORI(ende) Makeup:TAMAYO  YAMAMOTO Prop:PROPS NOW Edit&Text:SEIRA MAEHARA