
2025年放送のドラマ『愛の、がっこう。』で連続ドラマ初レギュラーを果たし、ナンバー1ホスト役で鮮烈な印象を残した荒井啓志。2026年春クールの『失恋カルタ』の出演や同年初夏公開予定の映画「死神バーバー」の出演、「ACTORS STAND vol.2」(事務所エイベックス所属の俳優陣が創り上げるプロジェクト)短編映画への主演も決定し、俳優として着実に存在感を高めている。そんな彼が、NHK連続テレビ小説『風、薫る』にゲスト出演。朝ドラ初出演となる本作への思いや、俳優としての現在地を聞いた。
「まさか自分が」から始まった“朝ドラ”初出演
――まずは、NHK連続テレビ小説『風、薫る』に出演が決まった時の心境をお聞かせください。
もちろん嬉しかったのですが、ご連絡をいただいた時は「まさか自分が」という驚きのほうが大きかったです。撮影のことを考えると不安もありましたし、初めてだからこそのワクワクもあって。プレッシャーと期待が交錯するような感じでした。
――朝ドラ初出演が決まり、ご家族など周囲からどのような反響がありましたか?
実は、家族にはまだ伝えていないんです。普段から仕事のことはあまり話さなくて、家族はSNSなどを見て「次はこの作品に出るんだ」って知ることが多いんですよ。朝ドラの出演を伝えたら、きっと喜んでくれると思いますし、「すごいね」「頑張ってね」って言ってくれるはずなんです。ただ、今はまだどこかで褒めてほしくない気持ちもあって。とはいえ、作品全体のストーリーも楽しんでほしいので、どのタイミングで伝えようかな、って考えているところです。
――朝ドラの現場はいかがでしたか?
すごく和やかな雰囲気で、演技しやすかったです。ピリッとした空気が流れているのかな、と勝手に思っていて、最初は身構えていたんですけど。実際に現場に入ってみたら、皆さん自然に会話されていて、アットホームな雰囲気だったので、緊張がほぐれました。
――今回、荒井さんが演じる「和泉行彦」は、どんな人物なのでしょうか?
明治時代を生きる華族で、谷田歩さん演じる和泉元彦侯爵と、仲間由紀恵さん演じる千佳子の息子です。難しかったのは、作品のなかに華族という存在がどう馴染むのか、どうすれば華族らしく見えるのか、というところでした。母親との距離感も、一般的な家庭とは少し違うと思うので、少し距離のある関係性だったり、独特の緊張感だったり、そういう空気感は意識して演じました。
――華族を演じるにあたって、何か資料は参考にされましたか?
資料もいくつか見たんですけど、それ以上に、リハーサルで仲間さんと谷田さんのお芝居を見て、そこから雰囲気をつかむようにしていました。両親役のお二人から、自然に吸収した、という感覚です。
――所作などで気をつけたことがあれば教えてください。
胸を張って堂々と歩くことは意識していました。偉そうにするというより、凛とした存在感を持つことを大事にしていて。それって自分一人で作れるものではなくて、同じ空間にいる元彦さんと千佳子さんのお二人の、品のある佇まいがあってこそ際立つものだと思うんです。お二人の力を借りて、華族らしく見せていただいた部分は大きかったなと思います。あと、仲間さんは僕が出ていないシーンにもずっと出演されていて。現場でお芝居をモニター越しに見ながら、「こういう役の時ってどう表現するんだろう」「目線はどう動かしてるんだろう」って、勉強させてもらっていました。
――荒井さんはこれまでも「演技力を上げたい」とたびたび話されていますが、現在はほかの方の演技を「見る」ことを大切にされていますか?
はい、すごく大事にしています。自分のなかでは、何事もまず「見ること」から始まると思っていて。スポーツをやっていた時も、上手い人を見て、そこから研究することが大事だと感じていたんです。『風、薫る』の現場でもそうですし、さまざまな現場で、モニターの前に立ってほかの方の演技を見ることは、意識して続けています。

もどかしさも含めて、今を楽しんでいる
――ここからは、俳優としてのキャリアや仕事との向き合い方についてお聞きしたいと思います。過去のさまざまなインタビューから、学生時代はある程度の水準までいろいろなことができたタイプかなと感じたのですが、いかがでしょうか?
そうかもしれません。勉強も苦手ではなかったですし。ただ、勉強でもスポーツでも、その時に向き合っていることには本気で取り組んできました。ある程度できるからこそ、ちゃんとやりたい、みたいな気持ちがあって。これまでやってきたことは、頑張れば手応えを感じられることが多かったんですけど、演技は全然そうはいかなくて。実際に始めてみると、やってみないと分からない難しさや大変さがたくさんありました。簡単にこなせるものではないからこそ、頭も体も使って、ぶつかっていく必要があるなと感じています。
――その「簡単ではない」部分に、面白さを感じていますか?
この仕事を始めて「20代後半になってもまだこんなに緊張するんだ」とか、「できない」「難しい」と思って、もどかしくなることがすごく多くて。その時は本当にいっぱいいっぱいなんですけど、振り返ると、それってすごくありがたいことだなと思うんです。俳優を続けていく限り、いくつになってもそういう感覚を持てるのは、すごいことだなって。この業界に入ったからこそ知れた礼儀やマナーもありますし、たくさんの方と関わるなかで、20代後半になっても分からないことがたくさんあるんだって気づかされて。そんな状態の自分を、今は楽しんでいます。
――俳優になる前と後で、「表現すること」へのイメージは変わりましたか?
俳優になる前は、「表現する」こと自体、あまり考えたことがなかったです。この世界に入ってみて、初めて「表現って何だろう」って考えるようになりました。何かをすることだけが表現ではなく、あえて何もしないことも表現の一つなんじゃないか、とか。今は、そのバランスを探っている最中です。
――今のご自身は、俳優としてどんな段階にいると感じていますか?
どの現場に行っても、自分は毎回一から挑む気持ちでいます。どこに行っても周りから何かを学びたいですし、できれば何かを残して帰りたい、という気持ちで臨んでいます。
――現在、ご自身の課題として感じていることは?演技力をもっと磨いていきたいです。今は、外見で声をかけていただけることもあって、それはすごくありがたいんですが、そこに演技力が加われば、もっと戦っていけるんじゃないかなと思っています。たまに「荒井くん、あれにも出てたんだ。気づかなかった」と言ってもらえることがあって。それって、ちゃんと別人として存在できているってことなのかなと思うので、すごく嬉しいですね。そうやって、作品ごとに違う人物として自然に存在できる俳優であり続けたいと思っています。

――『愛の、がっこう。』のつばさ役は、内面も丁寧に描かれていて、とても印象的でした。
本当にいい役をいただけたなと思っています。「つばさ」という役に対して丁寧に描いていただけたことに感謝していますし、演じていてすごく楽しかったです。連続ドラマは順撮りではないことが多いので、7話のシーンを撮ったあとに2話を撮る、みたいな。その構造的な難しさも初めて味わえて、すごくいい経験になりました。
――役がなかなか抜けないという方もいますが、ご自身はどちらのタイプだと思いますか?
今は比較的、短期間で現場に入ることが多いので、スムーズに切り替えられています。ただ、撮影期間が長くなったりすると、あえて役を抜かないほうがスイッチの負担が少ない、という考え方もあるのかなと思っていて。「役が抜けない」っていう状態の正体は、もしかするとそこにあるのかもしれないなと。今後、出演本数や日数が増えて、重い役に向き合うようになった時に、いちいち入り直すのは集中力的にも難しくなると思うので、自然と“入りっぱなし”になるのかもしれません。
――これまでの出演作から、若者向けや恋愛作品のイメージも強いですが、今後挑戦してみたいジャンルはありますか?
アクションですね。やっぱり憧れがありますし、先輩の髙石あかりさんが本格的なアクションをやっているのを見て、純粋にかっこいいなと思って。今年か来年には、何かしら挑戦してみたいです。殺陣でもいいですし、素手のアクションでもいいですし。アクション映画にも出演してみたいです。
――エイベックス・マネジメント・エージェンシーによる「ACTORS STAND vol.2」の短編映画企画で主演を務められるとのことですが、座長として現場の雰囲気をどのように作っていきたいと考えていますか?
これまでいろんな現場で、先輩方が座長として雰囲気を作っていく姿を見てきましたが、今の自分がやるべきことはそこではないのかなと思っています。まずはいただいた役をしっかり全うすること。それが今の自分の立場では何より大切なことだと思っています。
それを差し置いて、雰囲気づくりについて語れる立場ではないなと感じていて。とにかく必死に喰らいついて、役をしっかり演じ切る。その一点に、全身全霊で向き合っていきたいと思っています。
――ありがとうございます。最後に、GIANNAの読者やファンの方へメッセージをお願いします。これから、自分の代表作と言えるような作品に出会っていきたいと思っています。そのために、「荒井くんってこんな一面もあるんだ」と感じていただけるよう、幅広い役に挑戦し続けていきたいです。今後の歩みも見守っていただけたら嬉しいです。

<作品情報>
連続テレビ小説「風、薫る」
【主演】見上愛 上坂樹里
【脚本】吉澤智子
【原案】田中ひかる「明治のナイチンゲール 大関和物語」
【スタッフ】
制作統括:松園武大 宮本えり子
プロデューサー:葛西勇也 松田恭典
演出:佐々木善春 橋本万葉 新田真三 松本仁志ほかNHK総合【毎週月曜~土曜】 午前8時~8時15分 *土曜は1週間を振り返ります
荒井啓志(あらい けいし)
1999年6月16日生まれ、宮城県出身。
日本一の男子大学生を決めるコンテスト「CAMPUS BOY 2022」でグランプリを獲得したことをきっかけに、芸能活動をスタートする。主な出演作に映画「ファストブレイク」(24)、「遺書、公開。」(25)に出演する他、ドラマ「愛の、がっこう。」(CX)ではオーディションで重要な役どころに抜擢。連続ドラマ初レギュラー出演を果たした。以降、映像作品を中心に活動の幅を広げている。
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