DIVA WITH OAO AURA LiSA

COLUMN

圧倒的な熱量を携え、そのパワフルなパフォーマンスと歌唱力で世界中を席巻。歌手人生という大海原を駆け抜けてきたロックヒロイン・LiSAが放つ唯一無二のオーラは、ユニークなピースを纏うことで一層輝きを増し、多くを惹きつけてやまない。

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ーーGIANNAには初登場いただきましたが、今回の撮影はいかがでしたか? 衣装についての感想もお聞かせください。

普段着させていただく洋服とは全然違う、この服どこで発見したのかなと思う衣装ばかりで、新しい自分に出会った感じがしてすごく楽しかったです。いちばん印象に残っているのは、撮影だからこその衣装だったハリネズミみたいなピンクのドレスですね (笑)。ライブの衣装では奇抜なものもありますが、動きやすさや歌いやすさが私にとってはすごく大切なので、あそこまでの衣装を着られるタイミングが今までもなかったです。

ーー今号のテーマは“CHARISMATIC”なのですが、ご自身が感じるカリスマ性とはどのようなことだと思いますか?

“こんな人になりたいな”という憧れを持つことができる人かなと思います。

ーー今までにお会いした方でカリスマ性を感じた経験はありますか?

あります。私が一瞬で憧れてしまったのは、俳優の天海祐希さんです。お会いした時のオーラや立ち振る舞い、そして人への接し方すべてを含め、人としてすごく尊敬しています。

ーー憧れの存在やロールモデルとなる方はいらっしゃいますか?

いろいろ悩んだ時に相談するのは倖田來未さんです。女性としても、シンガーとしてもいろいろなことを相談させていただいています。年齢を重ねるごとに身体の内側も変わっていくので、そういった変化による悩みや、音楽活動のことも相談できるシンガーです。もともと私は倖田さんのファンなのですが、今はお姉さん、先輩として、音楽についてもプライベートでもいろいろ勉強させていただいています。

ーーまだまだツアー敢行中とのことで、今年はファンの皆さんにもライブ納めしていただけそうですが、LiSAさんの現在の心境を教えていただきたいです。

今回は久しぶりのアリーナツアーということもあり、大規模なライブを制作すること自体も久々なので、それをもってツアーを行えているのはとても幸せなことだなと感じています。ただ段取りがたくさんありすぎたため、不安もある中進めてはいたのですが、オーディエンスが混ざり、皆さんが盛り上げてくださるので、今回のツアーを一緒に作っている感覚が、6公演終えた今はあります。少しずつ作り変えながらみんなと旅をしていますね。

ーー今回のアリーナツアーでこだわっている点はありますか?

今回は『LiVE is Smile Always~COCKTAiL PARTY~』をツアータイトルとしているのですが、初日を『SWEET』、そして2日目を『SOUR』と名付けていて、2日間で違うコンセプトのライブを行っています。まさに、そのふたつが混ざり合うというイメージ。そして今年発売したシングルに『ブラックボックス』という楽曲があり、いろいろなものが混ざり合って黒になるというところから、そこから新しいものを作っていくという意味を込めていて。オーディエンスの皆さんとも作り上げていく、そしていろいろな要素が掛け合わされて『カクテルパーティー』というものを表現しているので、とにかくてんこもりです!(笑)

ーー公演中にLiSAさんからみて、ファンの皆さんが特に盛り上がっているなと思う楽曲は?

ライブで披露してきたものでいうと、『ROCK-mode』という楽曲は、今までライブで演奏した数がいちばん多いかもしれないです。初期のアルバムの楽曲のひとつで、なんのタイトルがついているわけでもシングルでもないのですが、ライブでその楽曲が始まったらイントロでみんなが「わー!」と盛り上がってくれます。私のライブに来てくれるお客さんはすごく愛情表現をしてくれるので、レスポンスが返ってくるのも早くて、初めてゲストで遊びに来てくださった方が感想を伝えてくれる時に、「お客さんの声すごいね」と最初に口にしてくださるぐらい、お客さんのレスポンスが早いです。なので、そういう感想をいただいた時は、みんなが「自分たちもやるぞ!」みたいな気持ちで遊びに来てくれているんだなと感じています。コール&レスポンスがある楽曲もたくさんあるので、それをどんな曲でもしっかりと覚えて来てくれるファンの皆さんがすごいです。

ーー演出や衣装でのこだわりはありますか?

私のライブではびっくりするぐらい衣装替えがあって。今回は1日7種類、しかも2日間で違う衣装を着用しているんです。楽曲自体が様々なジャンルから成っているので、1種類の衣装では表現しきれなくて、結局いろいろ相談していった結果、7着になりました。すべての衣装を早着替えできるように、あとは暗転している間にステージの上でも変えられるようにと工夫してもらっているので、ライブの衣装準備はすごく大変です。でも、表現する上でお洋服はすごく大切で、色合いやシルエット、動きやすさなど、たくさんのことを考慮して制作していただいています。

ーー今までのライブでのお気に入りの衣装は?

今回のツアーで言うと、『SOUR』の日の最初の衣装がすごく好きで。1曲目からかなり派手なパフォー マンスをするのですが、腕を振る動作をすると金魚のウロコのようにも見えるし、着物のようにも見えるシルエットで、絨毯のような濃密な生地の衣装になっています。そのフォルムもすごく可愛いですし、動きやすく派手にも大きくも見えるのでお気に入りです。

ーーグッズへのこだわりを教えてください。

今日もグッズまみれです! 日常の中で「もっとこういうものがあったらいいな」と思うものや、そのテーマだからこそ作れるものをグッズとして作っていくのはとても楽しいですし、皆さんの日常にグッズを入れてもらえるのはとても嬉しいです。実は、割と自分が欲しいものも作っています(笑)。

ーー普段ライブ前に行っているルーティンなどありますか? それはどんなことですか?

ルーティンまみれです!(笑) 私の開演までのスケジュールは5分刻みに決まっていて、現場に入る時間も誰よりも早くて。何があってもキックボクシングだけは必ずやります。めちゃくちゃあがり症で、例えばイベントだと30分でライブをしなくてはいけないこともあり、30分間緊張して終わってしまうんです。でもそれがすごく嫌で、イベント前に心拍数をあげることで、 一度すでに本番を30分ぐらいした気持ちで1曲目を歌うと、少しリラックスして本番が迎えられるので、それをすごく大事にしています。あとは、ボイストレーニングをする時間や、1人になる時間も作っています。 日頃も喉や身体のケアのために毎日口にテープをしたり、乾燥しないようにマスクをつけて寝たり。もちろん風邪はひかないように、常に気をつけています!

ーーツアーを通して、ファンの方にどんなメッセージを伝えたいですか?

私の座右の銘で「今日もいい日だ」という言葉があって、良い日も悪い日も甘い日も酸っぱい日もいろいろな日が混ざり合って、今日ここでみんなに出会える。そして、最高の日を作っていける。先ほどお伝えした今回のツアーテーマ『カクテルパーティー』というタイトルには“混ざり合う”という意味もあり、この言葉にも繋がっています。一日一日経験していくことを大切に、そしてうんっと楽しみながら「今日もいい日だった!」という気持ちでみんなが眠れるといいなと思うので、その1日が最高になるようにライブを作っています。

ーーリリースされた『QUEEN』は、どういった想いを込めて制作したのでしょうか?

『QUEEN』はTVアニメ『シャングリラ・フロンティア』2nd season 第1クールオープニングテーマとして制作させていただいたのですが、その作品はゲームの中の主人公が、仲間とゲームをクリアするためにさまざまなゲームに挑んでいくというお話なんです。自分自身も大変なことや多くの壁を乗り越える時に、それを楽しみながら勝利を掴み取りたいと願うことで、何かに挑んでいくことがすごく楽しいと感じていて。それが作品とリンクしたので、「楽しみながら挑んでいく」という姿勢が、この楽曲で表現できたらいいなと思いました。そして『QUEEN』というタイトルは、作詞をしてくださったMAQUMAさんがつけてくださった名前なので、それをちゃんと背負っていこうと、覚悟を持って歌っています。

ーーアニメの主題歌を歌われることも多いと思いますが、そのような時はどのように楽曲を作っていますか?

私一人で作っているわけではないのですが、必ず原作を読んだり、作品を観てから作っていきます。LiSAという名前で楽曲を受け取ってくださる皆さんがいる以上、作品の気持ちだけを歌うわけにはいかないと思っているので、自分自身が嘘なく歌えることを音楽にしています。

ーー作詞作曲を行う上でどこからインスピレーションを受けて制作を行っていますか?

今回の『QUEEN』で言うと、ゲームの世界が中心のアニメ作品の曲なので、ゲームらしい、少しチップチューンっぽい音が入っていたりして。作品との寄り添い方は、音楽を作る上でも意識しています。

ーーデビューをされてから13年が経ちますが、当時のご自身にお伝えたいしたいことなどはありますか?

「眉毛はもうちょっと太い方がいいよ」ですかね (笑)。10年前はまだみんな眉毛が細かったので、今思うと、もう少し太い方が良い気がします。

ーー歌を歌うことに本格的に興味を持ち始めたのはいつ頃ですか?

3、4歳の頃はすごく人見知りで、初めての場所に行ったり初対面の人に会うと、人前に出られず、母の後ろに隠れてしまうくらいでしたが、家では歌を歌ったり、はしゃいだりとすごく元気な子だったので、母がそれを見かねてミュージカル教室に入れてくれました。年長さんぐらいの頃だったのですが、そこから歌が好きだなと明確に感じながら歌っています。

ーー歌うことが好きと自覚してから、歌手として活動していこうと決めた瞬間はありましたか?

きちんと心が決まったのは東京に出ようと考え始めたタイミングなので、18〜19歳くらいの時です。今はSNSを含め、いろいろなところからアーティストが発掘されていますが、私の学生時代は、上京しないと見つけてもらえなかったので、岐阜に住んでいる身で「歌手になる」とは言えなかったんです。それぐらい現実味がないことだったので、学生時代は歌手になりたいと思いつつ、そんなこと叶うわけないという気持ちでした。声に出して言えませんでしたし、明確に夢として持っていなかったのですが、周りがやりたいことを見つけてその夢を叶えようとしている姿を見て、「じゃあ自分は何がやりたいんだろう」と自身に問いただした時に、自分がやってきたものはやっぱり歌しかなかったので、それでやっと決心がつきました。

ーーデビュー当時から今までで、自分が成長したと思う部分はありますか?

デビューした頃は、まだカッコいい自分を一生懸命見せようとしていて、“期待を裏切らないように”という気持ちで必死で。ダメな自分を認めてあげるこ とが、すごく下手でした。でも、デビューして3年目の 初めての武道館でのライブで、風邪を引いていたことを言えずに当日を迎えてしまって。そんな中でもみんなが最後までライブを一緒に作り上げてくれたことや、その先のもっともっと大きなステージへと一緒に連れて行ってくれたことが、私にとってすごく大き な経験になっているので、気を張りすぎなくていいんだと気づけたこと、少しダメな自分を認められるようになったことが成長した部分だと思います。

ーー壁にぶつかった時はどのように乗り越えてきましたか?

そのタイミングにきちんと傷付いて、きちんと向き合う。そうしてきたから今は壁に出会っても、戦う姿勢が身についている感じがします。武道館の経験もそうですが、コロナ禍の時期は今までやってきたやり方や、ライブでみんなと楽しい時間を作っていくことが強制的にできなくなってしまって。そういう状況でも、自分に何ができるのかということをゆっくり時間をかけて探し続けていくことが、私の中でのクリアする方法かもしれないです。

ーーデビューされてからいちばん幸せだったこと、逆にいちばん大変だったことはなんですか?

ライブの瞬間ももちろん幸せですが、いちばん印象に残っているのは2020年のレコード大賞の受賞時です。あの日は人生でいちばん周りから連絡をいただいた気がします。あの場で皆さんに感謝の気持ちを伝えられたことは、私にとってはとても大きかったです。いちばん大変だったことは、デビュー当時のミュージックビデオの撮影で、2日間で5本のビデオを撮ったことです。初めての武道館の前に、47都道府県で握手会をしてハンドパワーをもらう旅、というのも物理的に大変でした(笑)。

ーーLiSAさんが今後活動していく上での信念のようなものがあれば教えてください。

信念は、戦い続けることです。何かを長く続けていくと、できることがすごく増えていって、頑張らなくてもできてしまうことも増えてくるので、その中で自分がどうきちんと戦えるか。それは嘘をつかないことにも似ていますが、自分自身が一生懸命になれるかどうか。制作もライブも、こんなもんでいいかなと妥協した気持ちでやろうと思えば形にはなってしまいますが、それをしないように心掛けています。

ーーLiSAさんにとって音楽はどのような存在ですか?

振り返ってみると、私自身が音楽から得た経験や、音楽で知った自分の気持ちの正解もあって、道しるべになっている楽曲に出会うことが多かったと感じています。すごく大きくてクサイ感じになってしまいますが、音楽は人生です。表現者としては自分の人生ですし、リスナーとしては人の人生を覗いているような感覚で、そこから勉強させていただいているような感じがします。

ーーそんな将来、世間の方にはどんなイメージを抱いてほしいですか?

昔から可愛いと言われるより、カッコいいと言われたいタイプで。それは今も変わっていないかもしれないです。ずっとカッコいい女性でいたいと思います。

ーー今年の6月から開催された「LiVE is Smile Always〜ASiA TOUR2024〜」のアジアツアーを終えて、今後の活動に繋がる、何かご自身に影響を与えたものや出来事はありましたか?

最後にアジアツアーを行ったのが6年前で、その間にパンデミックがあったことで、かなりの時間が空いてしまって。みんなに会いに行けるタイミングがなかったこともあり、どれだけの方が待っていてくれるのかという想いがありました。パンデミック当時、“各地域や国でいろいろなことをする”という夢が志半ばで止まってしまったので、みんながまた一緒に夢を描いてくれるのかなという不安を持ったまま、6年前の思い出を連れてアジアツアーを始めました。いざツ アーが始まると、パワーアップしたみんなが待っていてくれて。昔は、アニメを見て私のことを知ってくれていた方が多かったので、アニメの主題歌を日本語で歌ってくれるという感じでしたが、今回はアニメの主題歌以外の曲もみんなが覚えてくれて、それも大合唱で一緒に歌ってくれたのでとても驚きました。最新曲まで知っていてくれて、とても嬉しかったです! ピアノで弾き語る楽曲があるのですが、その楽曲までも一緒に歌ってくれてとにかくすごく驚きました。

ーー日本と海外のファンに違いはありますか?

国によって、本当にそれぞれの楽しみ方があるんだなということを感じています。特に海外の皆さんは、知っている曲をすべてフルで歌ってくれます。

ーー今後アジア以外で海外進出する機会が増えるとしたら、まずどこの国へ進出してみたいですか?

最初かどうか分かりませんが、ドイツです。ドイツ含め、ヨーロッパの国はアニメの文化がすごく強いですし、昔からメタルやアニメが好きな人たちがたくさんいる印象なので、ヨーロッパにはぜひ行きたいです。

ーーLiSAさんが音楽を通じて海外のファンの皆さんに伝えていきたいものとは?

日本の細やかな音楽性です。海外に行かせていただくことが多い中で、日本人の器用さやおもてなしの細やかさがいいなと思っていて。その良さがきっとアニメーションや音楽にも自然と表現されている気がするので、そういうものが海を越えて愛されていくといいなと思います。

ーー普段プライベートで、音楽以外のことで夢中になっているものはありますか?

いちばん夢中になっているのは洋服です。普段はネットでしか手に入らないインポート系のものを購 入していますが、一人でのショッピングも好きなので、お休みの日に一人でふらっと出掛けて買いに行ったりもします。

ーーご自身のトレードマークはありますか?

ピンクヘアの他によく言われるのは八重歯です。実家のおばあちゃんのお友達たちは、私のことを“八重歯ちゃん”で認識しています(笑)。髪の色は、染めるならピンクがいいなとデビュー当時から思い描いていて。最初に私が関わったアニメ『Angel Beats!』で、あるキャラクターの歌を歌ったのですが、私が担当していた子がピンク髪だったので、その キャラクターのファンの子たちは、私を応援する時にピンクのペンライトを振ってくれるんです。そこから私自身のイメージカラーがピンクになり、今もずっとピンクにしています。

ーーこれから先、LiSAさん個人としてどのような人でありたいと思いますか?

最近決めたことですが、人の気分が上がる言葉をかけていたいと思っています。ポジティブな言葉を人にも自分にもかけていきたいです。

ーーアーティストとしては将来のビジョンをどう描いていきたいですか?

ずっと歌い続けられるように、トレーニングを継続していきたいです。めちゃくちゃ早かったり、高かったりと、難しい楽曲もたくさん歌わせていただいているので、そういう楽曲を皆さんの思い出とともに、大切に歌い続けられるような歌手でいたいです。

PROFILE 歌手 LiSA

6月24日生まれ、岐阜県出身。TVアニメ『Fate/Zero』『ソードアート・オンライン』『魔法科高校の劣等生』『鬼滅の刃』シリーズなど数々の人気アニメ主題歌を担当し、国内外でヒットを記録。2020年、Spotifyにおいて「海外で最も再生された国内アーティスト」1位、「紅蓮華」が「海外で最も再生された国内アーティストの楽曲」 1位にランクイン。同年、日本人初の月間リスナー300万人を記録し、国内外問わず驚異的な総ダウンロード数やストリーミング数を 誇るなど偉業を達成。アニソンシーンだけでなく、数多くのロックフェスでも活躍するライブアーティストとしてその存在感を示し、今もなお様々な記録を更新し続けている。2024年9月より、全国8都市を回るアリーナツアー「ソニー銀行presents LiSA LiVE is Smile Always〜COCKTAiL PARTY〜[SWEET&SOUR]」を開催中。

Model:LiSA Photography:TAKESHI TAKAGI(SIGNO) Styling:KOSEI MATSUDA(NOBODCR) Hair:TOMOKO SATO Makeup:PANDA YE PENG Interview:YUHA KUSUNOKI Edit:SEIRA MAEHARA